「灯台150周年」「日本・スウェーデン外交関係樹立150周年」など、直近の発行状況を見るだけでも、いろいろな記念切手が見つかります。社会の変化や文化の変遷に合わせて発行されてきた記念切手は、日本人にとって感慨深く、親しみを感じる存在です。この記事では、過去に発行されてきた記念切手のうち、高値で買い取ってもらいやすい切手をピックアップしてご紹介します。 ○記念切手とはどんな切手なのか ・国家的行事を記念して発行される切手のこと 記念切手は、皇室関係の慶事や国際会議、戦争の終結など、国や世界にとって重要な節目のときに発行される切手です。近年では、世界的な大会で活躍したスポーツ選手の記念切手や国民的な人気を誇るキャラクターの誕生日を祝うものなど、種類が多様化してきています。 記念切手を発行するのは、日本にだけではありません。世界で初めて発行された記念切手は、南アフリカ大陸の鉄道開通20周年を祝うものです。アメリカやイギリス、中国などいろいろな国で記念切手が発行され、そのたびに切手コレクターの関心を集めてきました。 ・日本初の記念切手 日本で初めて発行された記念切手は、1894年の明治天皇銀婚記念切手です。この切手の中では「記念」という表記ではなく、あえて「紀念」の字が使われています。これは「記念」に「かたみ」という意味があったことから「祝い事にはふさわしくない」という理由で変更されました。 当時の日本には記念切手という概念がありませんでしたが、在留外国人の声を受けた政府が興味を持ち、印刷局とも協力しながら急ピッチで印刷作業が行われた記録が残っています。 ○記念切手の価値について ・切手ブームのころに大量に購入された 1960年代から1970年代の日本では、空前の切手収集ブームが起こっていました。記念切手を買うために郵便局に長蛇の列ができることも珍しくなく、老若男女がこぞって切手を集めていたという話を聞いたことがある人もいるでしょう。 切手のコレクションはタンスや物置から出てきやすく、処分に困ってしまう人も多いのが現状です。もし切手のコレクションが見つかった場合は、素人判断で処分せず、まずは専門の業者に査定を依頼しましょう。査定だけ無料で行ってくれる業者も多く、査定を受けたからといって必ず売却しなければならないものではありません。切手の価値を把握したうえで、適切な方法で保存し後世に伝えていってください。 ・記念切手でも額面内の価値しかないものも 記念切手のなかにはプレミアが付かないものもあります。特に流通量が多く、現存数の多い切手は額面と同等程度の値で取り引きされるのが一般的です。額面以下の評価しかつかなかった場合、通常の切手と同じように使用したり、ボランティア団体に寄付したり、欲しがっているコレクターに譲ったりするのがおすすめです。特にボランティア団体の中には様々な切手を広く募り、まとまった数を換金して活動資金に充てているところもあります。 ・シート切手だと価値が高くなりやすい 1枚ごとのバラ切手よりも、切り取られていないシート切手のほうが高値で取り引きされやすい点には注意しましょう。というのも、切手を購入するときは1枚から数枚程度の必要数だけを購入する人が多く、タテ・ヨコ10枚ずつのシートのまま残っていることはまれだからです。 後々売却するつもりで記念切手を買うのであれば、シート単位で購入するようにしましょう。シートのままクリアファイルに入れ、高温多湿の場所を避けて保管してください。自宅に保管している切手の中からシート切手が見つかった場合も、切り離さずそのまま専門業者に査定してもらいましょう。 ○高値が付きやすい記念切手の種類 ・儀式の冠（10銭） 1916年に発行された「裕仁立太子記念切手」のうち額面が10銭の切手です。8.6万枚しか発行されなかったことから、希少価値が高い切手として人気があります。バラ切手でも5万円前後が相場です。 ・1919年飛行試行（3銭） 日本ではじめて飛行便が試行された日に発行された切手です。切手の上に飛行機の影が印刷されているデザイン特徴的で、3銭のものは特にに希少価値が高く、状態次第では3万円前後の値が付きます。 ・昭和ご婚儀（8銭） 昭和天皇のご結婚を祝福して作られたものの、関東大震災の影響で発行されなかった幻の切手です。一般に流通することはなく、1,000枚程度しか作られなかったこともあって、100万円以上の値がつくケースもあります。 ・文化人シリーズ 森鴎外や樋口一葉、西周など、歴史的な偉人を絵柄に入れたシリーズです。全部で18種類の絵柄があり、18種類すべてをそろった状態だと買取価格が高くなるケースもあります。バラ切手では西周の価格が特に高く、5,000円程度が相場です。 ○記念切手を高く売るコツ ・切手買取専門店で相見積もりを取る なるべく高く売るためには、複数の業者に査定を依頼し、評価額を比較しましょう。査定額が高いところに買取依頼を出すことで、より高値で切手を売却することができます。買取業者の査定は無料で依頼できるケースが多いので、費用の心配はいりません。「高価買取」「他社より高い査定価格」など広告の謳い文句だけでは決めず、実際に出された価格で比較してください。 同じ切手でも評価額に差が出るのは、業者ごとに顧客の需要や、保有している切手の修理が異なるためです。 ・保管状態を良くする 将来的に記念切手を売却するつもりなら、なるべく良い状態のまま保管しましょう。劣化が少ないものほど高値で売れる可能性は高くなり、査定価格に大きな差が出ることも珍しくありません。折り目やシミが付いたり、褪色したりしてしまうと、買取価格が低くなってしまいます。 保管するときはクリアファイルやキッチン用のジップロックなど湿気や埃を防ぐものに入れ、横に寝かせて置きましょう。すでに高値が付いている切手は、状態が良いうちに買い取ってもらうのも賢い選択です。 ○まとめ 切手は、手ごろな値段で購入できるものだからこそコレクションしやすく、一時の切手収集ブームもあり、比較的まとまった数のコレクションがみつかりやすいものです。もし身近に切手を集めていた人がいるのであれば、コレクションの中に貴重な切手がないかどうか聞いてみるのも良いでしょう。切手を高値で買い取ってもらうには、保存状態にも気を配ることが重要です。